越後秘境の山「矢筈岳」
                                        1,257,5m



      「矢筈岳」は、新潟県五泉市の藪山で残雪期でなければ行けない山がある。       

      この矢筈岳は、春の残雪期でも雪渓を歩き、一日では行けない山であると
      聞かされ、私が行ける山ではないと思っていた。

      近くの山、高立山には小さい小屋があり、その小屋に冬から春にかけて
      薪ストーブの暖を取りながら、団欒に山好きな人が近隣から集まって来る。

       





      Dさんは、一人でも泊りで春「矢筈岳」に登ると話をされ、
      「誰も居ない秘境の山はアルプスの風景より素晴らしい」と話していた。

      何回目かの話の中に「私も連れて行ってもらえませんか」とお願いしたら
      断らなかった。

      Dさんは、力持ちで足が速い、遅れるだろうが、そう迷惑は掛けないで
      ついて行けるとは思っていた。



 縦走コースとタイム
  
5月3日  8時間55分
   悪場峠−木六山−銀次郎山−銀太郎山−五剣谷岳(ベ−スキャンプ泊)

  
5月4日  9時間50分                           
   五剣谷岳5:50−7:15青里岳7:30−9:55矢筈岳11:50−14:00青里岳14:15発
   −五剣谷岳着15:40(ベースキャンプ泊)

  
5月5日 7時間15分
   五剣谷岳7:00−8:10銀太郎山8:30−9:25銀次郎山9:45−12:30木六山12:50
   −悪場峠着2:15





        2006年5月の連休、残雪期二泊三日の山行きだ。
        メンバーは隊長のD氏、隊員T氏と私共夫婦の4人である



        第1日目 晴 五剣谷岳に向けて


     5月3日午前6時30分登山口悪場峠集合、林道の雪は消えていた。
     ザックの重さは、約15キロ必要最小限度荷物は軽くした。
     テントは、力持ちの隊長D氏が担いだ、荷物は30kg位あるのだろうか。

     彼は春のぜんまいとりで60kg担いで降りて来る位だから、私等は怪物?
     と思っている人だ。

     四人で登山開始、先が長いが隊長について行く、仏峠で最初の休憩。






     途中、水無平はカタクリの花が行ってらっしゃいとばかりに咲いていた。





       新緑の中に山桜が咲き正に春たけなわである。




        急登のジグザグ道を登りきると祠のある稜線に出た。
        ここで小休止をする。






      小休止を終えて歩き出すと、雪渓歩きとなり隊長は
      「今年は雪が多いなぁ、意外と歩きやすいぞ!」と呟いた。






     しばらく歩くと木六山山頂に着く。山頂と付近は雪はないが、
     一歩下がるとまだ雪が詰まっている。
     山頂から隊長は、これから行く方向を指差し、山の説明をした。





      銀太郎を目指して歩き出す。周辺の雑木も芽吹始めた。





      しばらく雪の上を歩いて七郎平の水場に着く、ここに3人の
      パーティーが先に来ていた。

      彼等はピッケルを持っている。準備周到だなぁーと思った。

      七郎平清水で20分ほど休憩をして歩き出す、この辺はブナ林だ。
      ブナも新芽が芽吹き、残雪を踏みながら春の息吹を感じながら
      七郎平を横切って歩く。





      銀次郎山を目指す。
      よく銀次郎、銀太郎山と人は言っていたが、その位置さえ
      分からなかったが、今その山の上に立つ事が出来る。

     



       山頂には5〜6人のパーティーが休んでいた。
       結構他の人も矢筈岳を目指すんだなと思った。
       連休で天気が良いからだろう。

       銀次郎山から見渡す川内山塊は素晴らしい。
       これが川内山塊だ!

       まだ雪の多くついた山々を見渡し、その景観を眺める。

     



     銀次郎山を少し下りると、小さい祠に男性のシンボルの神仏が
     祭られていた。

     凡そ30kgの石つくりの神仏を昨年隊長が担ぎ上げたという。
     雪で傾いた祠を直してお参りをする。

          



      次のピーク銀太郎山を目指して歩き出す。

     



       銀太郎山の周辺には雪があるが山頂付近の尾根は
       雪が無くここも一部夏道を歩くことが出来た。

     



     銀太郎山に到着する。ここも絶景!絶景!
     ここまでは道がついているがここから先は、夏道はないという。

     次に登る山は五剣谷岳だ。隊長は、指をさしてあれが五剣谷岳だ
     と説明、かなり雪がついていて急な登りだ。

     内心あんな急な登り、どこから登れるのかと思うほどに見えた。
     「雪が硬くなければ良いが」と隊長は言う。
     滑らなければ良いが、内心若干不安だった。

     山頂で休憩、川内山塊も佳境に入る。なかなか来れない山だ。
     景色は格別、水を飲み喉を潤しながら、絶景の川内山塊を見渡す。

     



       山頂を出発、歩き出すとまた残雪を踏んで前進だ。
       「今年は雪が多いから楽だぞ」と隊長は叫んだ。
       道がないので藪を分けなくても良いからだ。

     



      五剣谷岳目前、急登が始まる。
      これが遠くから見えた急登かと思いながら隊長の後を歩く。

      長い急登なので途中立ち休憩、振り返ると相当な傾斜だ。
      すべっても何処かで止まるだろうと思うと怖さは和らいだ。

     



      歩き出し稜線に出る。「五剣谷だぞーと隊長が叫んだ」
      これが五剣谷岳か、私等では来られない山頂に立つ!
      感無量であった。

     



      かなり頂上付近は広い、何処にテントを張るのも自由だ。
      比較的平らな斜面にテントを張りベースキャンプにする。

      五剣谷岳には、3人パーティーが2組、単独が二人いた。
      私等入れて12人で結構沢山の人が、矢筈岳を目指している。
      張ったテントからは、粟ヶ岳の裏側が真正面に見える。

     



      明日登る青里岳、矢筈岳も近くなってきた。
      テントの中で一杯やりながら夕食とする。
  
      日が暮れて休む前に、見上げると空には星が
      落ちそうなほど無数に輝いていた。

     




        第2日目 晴 =矢筈岳を目指して


       4日の朝を迎える。
       五月晴れの快晴、粟ヶ岳が朝陽に輝いていた。
       この光景は、再び観ることが出来ないかもしれない。

     



       朝食を取り、身支度をして午前7時出発。
       残雪を踏み、藪を分けての歩きだ。

     



        しかし、雪も多く朝の残雪を踏み歩く気分は最高だ。

     



      天気は良い!眺めも良い!気分最高!山歩き最高だ!

     



      急坂をトラバースする。
      成る程安全確保にピッケルはあっても良い場所だと思った。

      隊長は、ピッケル、ストックは基本的に必要とせず急登は慣れている。
      しかし、私共はそうはいかない。

      この先どんな所があるのだろうか、不安を持ちながら足元を確認し、
      2本のストックで安全確保をしながら慎重に前進する。

     



      青里岳に到着。既に二人が山頂にいた。
      一人はここまでにするという。
      もう一人は、私等の後に付いて矢筈岳を目指した。

     



        山頂から藪越えで下降、そして雪渓。
        川内山塊の真っ只中を歩いている。

     



       時々振り返り、周辺を眺めながら歩く、一面雪原だ。

     



      クレパスを避け、歩き易いルートを歩く。
      隊長の藪や雪渓のルート取りは動物的な感を持った人だ。

     



        青里岳をバックに記念写真を撮る。

     



     又急斜面だ、しかも雪が硬い、登りだから慎重にカッティングを
     して登るが、帰りはこの硬い雪状であると危険と思った。
      (幸い、帰りは雪が柔らかになり、スムースに降りる事が出来た)

     急坂を終えて腰を下ろして休憩をした。
     後から3人のパーティーが登って来たら隊長は「歩こう」と立ち上がり
     歩き始めた。越されたくないようなので私等も後に続いた。

     あと頂上は30分位か、どんどん隊長は進む、山頂手前は藪を分けて
     前進だが早い早い、私等より10分くらい早く山頂に着き待っていた。

     今まで私等をかばって歩いていたが、これが隊長のペースで
     人間並みとは思えない

     9時55分、憧れの矢筈岳に到着。約4時間で頂上に着いた。

     



       山頂は、標識が立っていた。一人一人記念写真を撮る。
       憧れ「秘境の矢筈岳」その山頂に立つ事が出来た。
       何とも言えない満足感でいっぱいだ!


          



        帰りは、ゆったりと周辺の山々を眺め味わいながら
        雪渓を歩きベースキャンプへ引き返す。

     



        
第3日目、 晴  ベーキャンプを撤収し下山


       5日も晴!朝テントを撤収して下山開始。

     



       ベースキャンプを撤収して帰路に・・・

     



        銀次郎山で休憩。
        ゆっくりと歩いて来たルートや山々、
        川内山塊を眺めながら休憩をする。


         



        登る時硬い蕾だった石楠花が温かさで開きかけていた。


              



        水無平のカタクリも満開。
        私らの帰りを待っていてくれるようであった。

    



          3日間快晴に恵まれた。

          憧れの川内山塊、「秘境の山・矢筈岳」
          縦走登山を無事終える事が出来た。









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